女の子たちを後部座席に移動させ、
季節はずれの黒い皮ジャンと、履き慣れた黒いブーツでキメた男3人は、
夜の牛丼屋へと繰り出した。
私の右腰に光るヌンチャクを見て、連れのひとりが
短く切り詰めた木刀を抜いて見せる。もうひとりは、
何やら小型の金属製の板のようなものを背中にごそごそと入れていた。
前回の車だと警戒されると思ったので、
つい1日前に修理から帰ってきたばかりの私のセリカに乗り換えていた。
「来ますかね。」
「わからない。でも痩身エステで来た時が最後さ。」
道路から駐車場へ入ってくる車が一望できるスペースに車を停め、
刑事が犯人を見張るように店近辺を眺め続ける。
時折、同車種のクルマが入って来ると我々は色めきたつのだが、
ナンバーが違っていて「なんだよー」などと言いながら背もたれに寄りかかる。